お盆休みもあっという間に終わりました。今年は藤クリは約1週間近くの休みであったことから、お盆休み中は手術予定を入れていませんでした。いまは少しずつ通常の診療・手術の体制に戻りつつあります。
椎間板ヘルニアの手術のことを書きます。
腰椎椎間板ヘルニアの手術は、脊椎・脊髄外科専門医にとっては、ごく普通の手術なのですが、前回も記述した通り、安易に考えていると大変な事が起こることがあります。
お盆休みの1週間前に腰椎椎間板ヘルニア患者さんの手術を行いました。第5腰椎/第1仙椎の椎間板から発生した、巨大なヘルニアで、患者さんは、痛みのあまり普通に歩くことも困難なほど、右下肢の激痛に悩まされていました。そこで顕微鏡視下の手術を行いました。
専門的に書いても、なんとことかわからないと思いますので、簡単に書くと、ヘルニア塊が巨大すぎて、神経を著しく圧迫したため、神経の解剖学的位置関係が著しく変化していました。そのため、普通のヘルニア患者さんであったら、見つかるであろう部位に神経が全く見つかりませんでした。ヘルニア塊はすぐに発見できたのですが、神経の発見にかなりの時間がかかりました。ここで安易にヘルニア塊を摘出にかかると、神経を傷つける可能性が稀にあります。ここは焦らず丹念に神経を探し出し、これを直視下に避けながら安全にヘルニア塊を摘出する必要があります。
この患者さんもヘルニアを摘出して痛みがなくなり、大喜びされています。
患者さん一人ひとりの顔が違うように、ヘルニアも一人一人違います。あらためて手術には細心の注意が必要と自戒させてもらいました。