2011-10-14 日記

今日の手術:経皮的後弯矯正術(Balloon Kyphoplasty)と腰部脊柱管狭窄症

今日は午後から手術でした。

 

 1件目は、第4/5腰椎の腰部脊柱管狭窄症のために左下肢痛があった患者さんでした。顕微鏡視下に確認すると、神経根の真下に小さい椎間板ヘルニアが存在していました。脊柱管狭窄症がベースにあった上に、椎間板ヘルニアを合併したケースでした。手術時間は50分程度で終了しました。

 

 2件目は第12胸椎が骨粗鬆症のために圧迫骨折をきたし、コルセットを着けて、お薬を飲んでもなかなか痛みが軽くならない患者さんでした。そこで、今年の1月から厚労省が認可したBalloon kyphoplastyを施行しました。この術式は、脊椎脊髄外科指導医であり、かつ認定をうけた医師しか行えないため石川県ではほとんど行われていない術式です。私は石川県第1号の認可を受けました。

富山県では、厚生連高岡病院の鳥畠康充先生が北陸唯一のインストラクターとなっています。

 

今回はだいたい50分程度で手術を終了しました。皮膚切開は5㎜程度が2つあるだけで、きわめて低侵襲な術式と思います。

 

 この術式について以下に説明します。

経皮的後弯矯正術:Balloon Kyphoplastyについて

経皮的後弯矯正術とは、高齢者で骨粗鬆症による背骨の骨折による痛みが改善しない患者さんに対して、骨セメントを注入することによって、骨折部を安定化させ痛みを軽減させつ手術方法です。背骨の骨折部で風船(Balloon)をふくらませ、つぶれた骨をできる限り復元した後、風船によって作られた空洞に骨セメントを詰めます。きわめて低浸襲で、かつ速やかに痛みが取れるため、欧米では広く行われている手術方法です。2011年1月から保険診療として特定の施設で行うことが認められた術式です。入院は5日程度で、手術の翌日から自由に歩けます。

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背中から小さな風船付きの器具を挿入します。 椎体の中の風船を膨らませ、つぶれた骨を骨折前の形に戻します。 風船を抜くと、椎体内に空間ができます。空間を満たすようにセメントを充填します。 手術は1時間程度で終わり、骨セメントは手術中に固まります。

手術は手術室で全身麻酔下に行います。レントゲン透視装置で確認しながら、背中から管を「せぼね」内に進めます。そこに風船を挿入し(①)ふくらませることで、つぶれた骨を出来る限り復元します(②)。作られた空洞に専用の骨セメントを詰めます(③④)。手術の時間は通常1時間程度です。