2012-09-04 日記

出血が止まりにくい患者さんの脊椎手術

 ここ3週間ほどは手術日記を書いていませんでしたが、たくさんの脊椎手術を行っていました。
先週は、腰椎変性すべり症に対して後方進入椎体間固定術(PLIF)を1件、腰部脊柱管狭窄症に対して顕微鏡視下除圧術を2例行いました。

腰部脊柱管狭窄症の患者さんは、ある病気により、血液中の血小板という血を固める成分が極端に不足しており、正常の10分の1程度しかありませんでした。そのため手術をすると出血が止まらない可能性があるため手術は困難と判断し、半年以上も注射加療などを続けていました。しかし全く下肢痛などの症状が軽快せず、そのため患者さんは強く手術を希望されました。内科の先生のご助言を受けながら、十分に患者さんに手術の危険性を説明し、納得して頂いたことから、今回は手術に踏み切りました。

 
 術前に血小板を輸血してなんとか血小板の値を5万程度(通常は20万程度)に上昇させて手術に臨みました。それでも案の定、手術中には、明らかな出血点はないにもかかわらず、しみ出るような出血が多く、止血にはかなりてこずりました。それでも、止血材を使用しながら、なんとか手術を終了しました。術後にも血小板を輸血することにより、術後出血も最低限に抑えることができました。
いろいろ大変なことがありましたが、術後症状は劇的に改善したことから、やはり手術加療しか症状改善の見込みがない場合には、可能な限り、手術完遂の道を模索することが必要であると痛感いたしました。