先週は2件の脊椎手術を行いました。2件とも腰部脊柱管狭窄症の中でも椎間孔狭窄と診断した患者さんでした。
そのうちの1件は、私が約5年前に第5腰椎脊椎分離すべり症に対して後方除圧固定術を施行した患者さんです。5年が経過して次第に右下肢痛が出現し当院に再診されました。当初はMRIで軽い程度の第4/5腰椎の脊柱管狭窄症と診断し、保存加療を行っていましたが、まったく下肢痛が軽減せず、そのうち歩行も困難な状況になってきました。その後神経根ブロックなどを駆使して、ようやく右第4/5腰椎椎間孔狭窄と診断しました。初診から約2か月は経過していました。
手術はやや難易度の高いものとなりました。まず以前手術を施行し金属のボルトを第5腰椎に刺入しているため、右第4/5腰椎の椎間孔の展開がかなり困難であったこと、それに加えてやや肥満気味の中年男性であったこと、などにより手術視野の確保に難渋しました。脊椎の変形も強く、顕微鏡を用いて注意深く右第4腰神経を同定した後に、神経を背側及び尾側から圧迫していた骨棘を切除しました。術後は下肢痛はほとんど消失して良好な術後経過を辿っています。
椎間孔狭窄は、まず診断が難しく、また手術も症例によっては難易度が高いこともあります。しかし、私は、この椎間孔狭窄の診断および手術には、非常に自信があり、かつ得意としています。今までにも、いくつかの病院で軽度の脊柱管狭窄症と言われ続けた頑固な下肢痛患者に対して、外来で椎間孔狭窄の診断を下し、そして顕微鏡視下の手術を施行し下肢痛が消失した患者さんが少なからずいます。
このように、手術までは必要がない程度の腰部脊柱管狭窄症と医者から言われているものの、かなりの下肢痛で日常生活をも不都合を来しているという患者さんは、もしかすると椎間孔狭窄かも知れませんので、一度当院に受診することをお勧めします。