2018-11-28 手術日記

再発性腰椎椎間板ヘルニアの手術

 久しぶりに手術日記を更新します。

 

 今年の夏ごろは、以前 当院もしくは他院で手術を行った腰椎椎間板ヘルニアの患者さんが、残念ながら再発し、なかなか投薬や注射などでも改善せず、やむなく再手術を行った患者さんが数人おられました。

 

 腰椎椎間板ヘルニアの手術後再発は、一定の頻度で発生します。これは初回手術が不適切であったということでは全くなく、椎間板の変性(加齢など)の程度によるものが一番の原因と思われます。文献的には再手術の頻度は5年間で28%と報告されています。この頻度は、手術以外の治療の再発率よりは低いことから、手術をもってしても、椎間板ヘルニアの再発はゼロにはできないと考えたほうが良いと思います。

 

 椎間板ヘルニア再発に対する手術は、初回手術と比較して難易度がぐっと上がります。初回手術のあとは、瘢痕組織という固い線維性の組織が一面を覆っており、神経もこの瘢痕組織に埋もれているため、なかなか神経を見つけ出すことが困難になります。手術顕微鏡を用いて、丁寧にかつ慎重に瘢痕組織に埋もれている神経を同定して、慎重にその神経をよけながら再発性椎間板ヘルニアを除去するという操作が必要です。これらの操作を安全に行うには前述のように手術顕微鏡は必須であり、明るく拡大した手術視野が得られれば、それほど困難な手術ではないと言えます。とうは言うものの、初回手術と比較すると、約2倍程度の時間がかかります。

 

 椎間板ヘルニアは手術治療や、それ以外の治療ともに再発の可能性があることを知っていただきたいと思います。