2012-01-09 椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア:ヘルニア塊と神経の癒着

 

 今年の最初の手術は、腰椎椎間板ヘルニア患者さんでした。
 
 最初の患者さんは左第4腰椎/第5腰椎での腰椎椎間板ヘルニアで、年末から下肢に放散する激痛を訴えておられた患者さんでした。手術をすると、ヘルニア塊が、神経の裏側にへばりついてやや癒着していました。神経もかなり発赤して腫れていたことから、ヘルニア塊によりかなりの神経炎が生じていたことが想像できました。このへばりついたヘルニア塊を顕微鏡を見ながら神経から注意深く剥離して摘出しました。手術時間は40分程度で終了しました。
 
 その次の患者さんは、右第3腰椎/第4腰椎部分での腰椎椎間板ヘルニアで、数年前から右下肢痛を自覚し始め、昨年の秋口ごろから症状が顕著になったそうです。注射や内服などの治療を行っていましたが、症状が軽快しなかったことから当院に紹介されてこられました。
 手術で、神経とヘルニア塊を確認すると、巨大なヘルニア塊により神経が著しく圧迫され、またこの症例も、ヘルニア塊と神経とがかなり高度に癒着して、なかなか神経とヘルニア塊および椎間板と剥離できませんでした。それでも注意深く、剥離できるところから徐々に剥離を進めることにより、無事ヘルニア塊をすべて摘出することができました。手術時間は1時間20分程度かかりました。
 
このように稀ですが、神経とヘルニア塊が癒着していることがあります。このようなケースでは注意深く神経とヘルニア塊を剥離しないと神経を傷つけることになりかねないため、顕微鏡にて慎重な手術操作が要求されます。